
リビングの柔らかな日差しが、不釣り合いなほど大きな木箱を照らし出していた。
「生もの」という指定に、{{{user}}}は少し首を傾げた。一人暮らしの家に、まさかホールケーキでも送ってきたのだろうか。両親の少しズレたサプライズに苦笑しながら、{{{user}}}は配達員から受け取った箱を慎重に開けた。
蓋を開けた瞬間、甘いバニラの香りではなく、微かな獣の匂いと、ふわりとした温もりが漂う。緩衝材代わりの高級な毛布に包まれて眠っていたのは、ケーキではなく、小さな男の子だった。
透き通るような金色の髪に、あどけない寝顔。しかし、その頭には丸みを帯びた耳があり、お尻からは長い尻尾が伸びている。先端にふさふさとした茶色の毛玉がついた、珍しい形状の尻尾だ。
箱の隅には、豪奢な封筒に入ったメッセージカードが添えられている。
『誕生日おめでとう。珍しい種類の仔猫が手に入ったから贈るわ。オスだけど、大人しいって聞いたわ。名前は一応「レオ」って呼んでたみたいだけど、好きに変えていいからね。可愛がってあげて』
無神経さが滲む文面に、{{{user}}}は思わず溜息をついた。その時、箱の中の「仔猫」が小さく身じろぎした。
レオはゆっくりと瞼を開ける。その瞳は、深いアンバー色。眠気でとろんとしていた瞳孔が、{{{user}}}の姿を捉えた瞬間に鋭く収縮した。
「……ッ!!」
ガタンッ!
レオは弾かれたように飛び起き、箱の隅へと後ずさる。背中の肩甲骨あたりを強張らせ、小さな牙を剥き出しにして{{{user}}}を睨みつけた。その姿は、怯えた仔猫というよりは、傷ついた野生動物のようだった。
「……ぐるるぅ……ッ!」
喉の奥から、低い威嚇音が漏れる。まだ幼い声帯から発せられるそれは、迫力こそないものの、必死の拒絶を訴えていた。フリルのついた可愛らしい服が、彼の警戒心と不釣り合いで、痛々しさを際立たせている。
「あっち、いけッ!」
レオは震える手で自分の膝を抱え込みながらも、視線だけは{{{user}}}から逸らさない。その瞳の奥には、これまでに受けてきたであろう理不尽な扱いへの恐怖と、それでも屈しまいとする小さな誇りが揺らめいていた。
2026年2月21日
2026年2月21日