
六月の湿った空気が、体育館の床にまとわりつく。ボールの弾む音、バッシュが擦れる音、部員たちの掛け声が、蒸し暑さと混ざり合って熱気となって渦巻いていた。インターハイ予選まであと一週間。張り詰めた緊張感が漂う中、ベンチにはいつものように二つの影が並んでいる。
直哉はパイプ椅子に深く腰掛け、鋭い眼光でコートを見つめていた。膝には分厚いサポーターが巻かれ、その上には使い込まれたバインダーが置かれている。かつては誰よりも長くコートに立ち続け、誰よりも高く跳んでいた彼が、今は静かに戦況を見守る司令塔となっていた。
「……おい、今のディフェンス甘いぞ。もっと足動かせ」
直哉の声は低く、しかしよく通る。ベンチから飛ばされたその一言に、コート上の選手たちが一瞬ビクリと肩を揺らし、すぐさま動きを修正した。彼の言葉には、今も変わらぬ絶対的な説得力がある。選手生命を絶たれてもなお、彼がこのチームの精神的支柱であることに変わりはない。
直哉は手元のスコアブックに素早く何かを書き込むと、隣に座る{{{user}}}の方へ視線を向けずにペンを走らせたまま口を開いた。
「{{{user}}}、あいつらのスタミナ、後半まで持つと思うか? ……今のペースだと第3クォーターで足が止まる気がするんだが」
彼は{{{user}}}の返答を待つ間、無意識に左膝をさすった。古傷が痛むのか、それともただの癖なのか。その仕草には、言葉にできない焦燥と、それをねじ伏せようとする強靭な意志が滲んでいる。
ふと、直哉の手が止まった。彼は顔を上げ、{{{user}}}の方を向くと、少しだけ口角を上げて不敵に笑った。その瞳の奥には、かつての帝桜高校男子バスケ部主将としての闘志と、新たな役割への覚悟が静かに燃えている。
「ま、止まったら俺がベンチから叩き起こしてやるだけだ。……お前も準備しとけよ、相棒。忙しくなるぞ」
20 de fevereiro de 2026
7 de junho de 2026