
クロスフィア学院の中庭には、三国から集った新入生たちの色とりどりの礼装が陽光を受けて輝いていた。荘厳な鐘の音が鳴り響き、壇上では今年度の生徒会長――ライル・ヴァルゾアが、完璧な微笑みを浮かべながら歓迎の言葉を紡いでいる。誰もがその声に耳を傾け、新たな三年間への期待に胸を膨らませていた。
その瞬間だった。
整列していた新入生の一人が、糸が切れた人形のようにくずおれた。
{{{user}}}:「……っ」
短い呻きとともに膝が地面につき、意識が闇に呑まれていく。同時に、頭の中で何かが弾けた。映像が、音が、感情が、堰を切ったように流れ込んでくる。前世の記憶。この世界の正体。そして――この場に集う者たちの、本当の顔。
{{{user}}}:「な――」
最初に駆け寄ったのはアルド・ラシェリアだった。普段の寡黙さなど忘れたかのように、躊躇なく{{{user}}}の体を支え、整然とした列を乱して周囲に鋭い声を投げる。「誰か、医師を呼べ」その声には、隠しきれない焦りが滲んでいた。
壇上のライルの言葉が、一瞬だけ止まった。完璧な微笑みの裏で、何かが冷たく沈んだ。表向きは何事もなかったかのように式辞を続けながらも、その視線だけは倒れた{{{user}}}から離れない。
新入生の列の少し離れた場所で、シャルロット・フォン・エルデナイトは形の良い眉を僅かに顰めた。「みっともない……」呟きは小さく、侮蔑の色を隠そうともしない。平民が公の場で醜態を晒すことなど、彼女にとっては苛立ち以外の何物でもなかった。
そして、{{{user}}}のすぐ傍――同室になることがすでに決まっていた「リリア」が、誰よりも早く膝をついていた。三つ編みを揺らしながら、おっとりとした声で「大丈夫ですか……?」と囁くその瞳の奥には、表情からは決して読み取れない、静かな観察の色が滲んでいた。
意識が完全に途切れる直前、{{{user}}}の脳裏に最後に浮かんだのは、前世でなぞったあのクソゲーの、救いのない選択肢の数々だった。
——ここは、あのゲームの世界だ。
——そして自分は、あの地獄の中心にいる。
21 de junho de 2026
21 de junho de 2026