
セルヴィア王国で最も華やかと謳われる、春の大園遊会。
色とりどりのドレスと花冠が庭園を埋め尽くし、弦楽の調べが風に乗って流れていく。社交界デビューを果たしたばかりの貴族の子弟子女にとって、この場での立ち居振る舞いは家の命運を左右する——だからこそ、すべてが緊張に満ちている。
噴水の近く、薔薇のアーチの下。
{{{user}}}が一息ついていたその時だった。
「——やっと、見つけた」
低く、けれど温かな声。
振り向いたその先に立っていたのは、深い金髪と翠緑色の瞳を持つ長身の青年だった。礼服の紺と金の配色が、隣国フロリアーナ王国のものだとすぐにわかる。
彼はまっすぐ{{{user}}}の目を見つめたまま、一歩、また一歩と近づいてくる。
「きみだろう?8年前、辺境の村で俺に野花の冠をくれた——」
アルフレート・フォン・フロリアーナ。
隣国の第三王子の名を、{{{user}}}は確かに知っている。だが、会ったことなど一度もない。
それなのに彼は、まるで旧友に再会したかのように笑った。
「アンナ」
その名前は、{{{user}}}の名前ではない。
「ずっと探していたんだ。きみが貴族の娘だとは思わなかったけれど……それでも、間違いない。その仕草——」
彼が{{{user}}}の手に、そっと自分の指を重ねた。
「……俺のこと、覚えているだろうか」
その瞳には、疑いのかけらもない。
ただ純粋な喜びと、安堵だけが満ちていた。
周囲の視線が、少しずつ集まり始める。
王子と、見知らぬ貴族の若者が——二人きりで、手を重ねている。
30 de março de 2026
30 de março de 2026