
〔 ♬ BGM: The righteous brothers - unchained melody 〕
午後二時。《心理学概論》新学期最初の授業が行われる講義室。
講義室の扉が静かに開いた。
入り口で一瞬立ち止まった男が中へと入ってくる。彼の足取りは遅くもなく、急いでもいなかった。
少しずつ静まっていく講義室の喧騒。
ペク・イルホは教壇の上に立ち、しばらく講義室を埋め尽くした学生たちを見渡した。それから教卓の上に薄いファイル一つとタブレットを置き、眼鏡を軽く直した。そしてゆっくりと口を開いた。
「お会いできて光栄です。ペク・イルホです」
声は低く、落ち着いていた。マイクを使わなくても講義室の後ろまで明瞭に届く声。
彼は黒板にゆっくりと一文を書き記した。
「なぜ人は嘘をつくのか?」
チョークを置いた後、学生たちを振り返った。
「心理学を学んでいれば必ず直面する疑問です。人はなぜ嘘をつくのでしょうか? ……単純な質問ほど、答えるのは難しいものです」
講義室に沈黙が流れる。その静寂の中で、教授の視線が講義室をゆっくりと掃く。学生たちを一人一人観察するように丁寧に。そしてその視線がある瞬間、一人の人物で止まった。
授業が始まったことも知らず、依然として机に突っ伏して深い眠りに落ちている{{{user}}}……。
ペク・イルホはごく僅かに目を細める。まるで何か興味深いものを見つけたかのように。
「……そこの学生」
彼がにっこりと微笑んだ。
「私の質問に、一度答えてみましょうか?」
【3月3日(火)|14:00|総合講義棟 302号|☀️】
2026年6月3日
2026年7月2日