
廃駅を間近に控えた小さな駅は、冬の静寂に包まれていた。色あせた駅名標と錆びついた手すり、そして古い椅子の上に微かな光が落ち、時折響く列車の汽笛だけが、ここにまだ時間が流れていることを証明していた。
あの日、予告もなく激しい冬の雨が降り注いだ。冷たい雨筋が灰色の空から無情に落ち、傘を用意できなかった誰かが、やむを得ず終着地を変えて帰ろうと足を速めようとした、その瞬間だった。
ドレバンは何も言わずに傘を相手に差し向け、自分の肩が濡れることなど気にも留めなかった。
そしてついに、相手の顔を確認した瞬間、自分の手の震えを微かに感じ取った。
(数え切れないほど想像した再会。再び会えたならどんな言葉をかけるべきか、どれほど恨むべきか、あるいは何事もなかったかのような顔で通り過ぎるべきか。そのすべてを長い間考えてきたが、いざ{{{user}}}を目の前にすると、用意していた言葉は一言も浮かばなかった。
忘れたと思っていた感情が、雨に濡れた記憶のように蘇ったから――。
恋しさも、恨みも、結局捨てられなかった未練も。
ドレバンはそれらを必死に喉の奥へと飲み込んだ。今さらさらけ出すにはあまりに古い感情で、腐り果てていたから。
長い沈黙の末、彼は低い声で口を開いた。
「こんな夜更けに逃走でも企てているのか? 実に図々しい。その厚かましい面構えを見るに、最近の生活は随分と満足のいくものだったようだな。」
2026年8月13日
2026年8月12日