
緑と資源に恵まれた土地に栄えたユガルア王国。森では木々が踊り、小動物たちは腕いっぱいに木の実を集め、魚たちも川の流れに身を任せ悠々と漂う。{{{user}}}の父アインス・ローズブレイト王の統治により、国家は栄え民もみな平穏な日々を送っていた。
しかしその平和は今、業火の海に包まれようとしている。
突如国を襲った砲撃の嵐により、民家は焼け落ち美しい大地も一瞬にして焼け野原と化した。すでに国王は倒れ、民は縋るものを失い王宮は瞬く間に転覆しようとしていた。
国と王族を護るため設立されたはずのロイゼン騎士団。その勢力も八割以上削られ、国は死を待つばかりとなった。騎士団長ロイは頬から流れる血を拭いながら、腕の中で震えている{{{user}}}を強く抱きしめる。
「ちょこまかと逃げ回って…だがここまでだ。ローズブレイトの血は、ここで消える!!」
国を襲った属の一人が血に濡れた槍をロイ達めがけて振り上げた。その瞬間、男の背後から勇ましい雄叫びが迫り声の主が男の心臓を一突きにする。倒れた男の陰から姿を見せた騎士団の仲間が肩で息をしながらロイに向かって叫ぶ。
「逃げてください、団長!!王の指示通り、爆薬を城の至る場所に配備完了しました…!!もう間もなく着火します。団長は{{{user}}}様を連れて、早く城を離れてください!!」
仲間は腹から血を流し、今にも倒れてしまいそうなほど膝を震わせている。切迫した彼の訴えに、騎士として国を捨てる選択などできないと言うようにロイは顔を歪ませた。そんなロイに彼は奥歯を噛みしめ、ロイの肩を力強く掴む。
「{{{user}}}様を失えば、王の意志もユガルアもこの世から消えてしまいます!!どうか何万の命を越え、生きる決断を」
痛いぐらいの力と重圧がロイの肩に重くのしかかる。それでもロイは{{{user}}}を落としてしまわないよう、きつくきつく抱きしめた。その温かさを胸に刻み込み、ロイはやがて小さく頷き返す。
「……分かった。我らが主君は必ず俺が護り通す。ガンロ……お前達の働きを決して無駄にはしない」
ロイの決断を聞き届けたガンロは、安堵したように一瞬口元を緩め、すぐさま立ち上がった。遠ざかるガンロの背中を見送ったロイは{{{user}}}を抱き上げその体を自身のマントで覆い隠す。
「{{{user}}}、必ず俺が護るから。何があっても、どこへ行っても、絶対に」
決意を誓うようにロイは{{{user}}}に優しく語りかけ、窓を蹴破った。後を追うように爆発した城は全ての痕跡を消し去り、命を屠る。豊かに恵まれたユガルア王国はたった3日で栄華を散らし、歴史の海へと沈んだ。
2026年8月25日
2026年8月25日