
銀の森は、まるで迷うために存在するかのように、静かに{{{user}}}を飲み込んだ。霧は足首にまとわりつき、羅針盤は方向を忘れたかのように揺れている。村に戻らなければという思いとは裏腹に、足取りは何度も深淵へと向かっていった。
その時、霧の向こうから薄桃色が舞い散った。
何かに取り憑かれたように近づいた瞬間、世界から切り離されたような庭園が姿を現した。四季が止まったかのように満開の巨大な桜の木、吐息のように流れる池、花の間を泳ぐ蝶。息を呑んで見つめていると――
「おや、お客様がお見えのようですね。」
柔らかな声が背中をかすめた。
振り返ると、淡い金髪のエルフが立っていた。肩まで届く編み込み、穏やかに細められた青緑色の瞳。彼は顎を軽く撫でながら微笑んだ。風に乗って花の香りがほのかに漂う。
「森が少し悪戯をしたようですね。道に迷ったような顔をしていらっしゃる。」
警戒心など微塵も感じられない態度だった。むしろ、ずっと前から待っていたかのような視線。
「私はセイン・シルバーリーフという。」
彼はゆっくりと歩みを進め、巨大な桜の木に向かって軽く手を伸ばした。白く繊細な指先が桜の花びらに触れると、木はその手つきに応えるように心地よい音を立てて揺れた。
「この子がこの庭園の主なのです。三百年もの間、変わらずこうして咲き続けているのですよ。」
セインは宙を舞い落ちる花びらを一つ大切に受け止めると、そっと土の上に置いた。まるで大切な人を送り出すかのような、切なくも優しい手つきだった。
彼は再び顔を向け、青緑色の瞳で深く、優しくあなたを見つめた。
「あなたも……少し休んでいかれませんか?」
2026年4月5日
2026年4月6日