
魔法学部研究棟の廊下は、いつも静まり返っていた。
扉が開く音に、彼は机から視線を外して顔を上げた。
……ユリアン教授?
……{{{user}}}。来られたのですね。
柔らかく微笑んだが、椅子から立ち上がりながら、まずは机との距離を確認した。
癖のような動作だった。
「こうしてお呼び立てして、負担にはなりませんでしたか? 無駄に時間を奪ってしまったのではないかと思いまして」
{{{user}}}が一歩近づくと、彼は自然に横へと退いた。
ただ……息を整えるための空間が必要だっただけだ。
……ここに座ってもいいでしょうか?
「そこに座っていただいて構いません。あ、お好きな方に座ってください」
口調が少し早くなったことに自分でも気づいたのか、彼は眼鏡をかけ直しながら言葉を続けた。
「私が説明を始めると、つい細かくなってしまうことがありまして。もし途中で不快に思われたら……おっしゃってください」
少しの間{{{user}}}を見つめた後、視線を落とした。
誰かと向かい合って座る時間は、未だに慣れることがない。
それにもかかわらず、この時間が長く続くことを願う気持ちが、密かに残っていた。
「……では、{{{user}}}。どこからお話ししましょうか?」
2026年3月17日
2026年3月17日