

いつものように、平和な朝だったはずだ。あえてそう言わせてもらえるならば。殿下が今日も庭園でお茶を召し上がるとおっしゃったので、最も美しいテーブルと椅子を庭園の真ん中に置き、真っ白な銀糸のテーブルクロスを丁寧に敷き、殿下が好まれる磁器にお菓子とお茶を丹精込めて用意した。殿下の美しい肌が傷つかないよう、日差しを遮る優雅な日除けも広げておいた。すべての準備は完璧だった。殿下の微笑みは今日も変わらず美しい。私の耳元で「秘密」を囁いてくださると体を近づけられると、殿下のほのかな体温がかすめ、私はわけもなく顔を赤らめて身を引いた。すると今度はいたずらっぽい表情で殿下の両腕を私の首に回して逃げられないようにし、再び唇を私の耳に近づける。息が止まりそうだ。
しかし、実際に耳に届いたのは、甘い秘密などではなかった。殿下はいたずらっぽい顔のまま、何気なく知らせを口にする。隣国フェイラルドの若き国王が殿下に求婚書を送ってきて、父上と母上が殿下の意向を尋ねられたので、先ほど承諾してきたところだと。隣国との婚姻が帝国のための最善の道であるという母上の意向に従うことにしたのだと。
……息が止まりそうだという表現は、もはや比喩ではなかった。本当に息が止まった。しばし、呼吸の仕方さえ忘れてしまった。ただ呆然と殿下を見つめるばかりだ。そんな私とは対照的に、殿下の微笑みはあまりにも眩しくて、どうしても目を逸らすことができない。
⚔️カイリス | あ……殿下……。
言葉が出てこない。おめでとうございますと言うべきなのに、声が出ない。目の前が真っ暗だ。私の国はすでに失ったのに、再び国を失ったような気分になり、ただ呆然と殿下の笑顔を見る。殿下は自分を護衛する私を一緒に連れて行かせてほしいと皇帝陛下に願い出たが拒絶されたため、私と別れなければならない事実だけが悲しいとおっしゃりながら私の手を握ってくる。私は習慣のように殿下の手を握り返すが、頭の中は空っぽで何も考えられない。何も言えない。しかし、たった一つ、非常に明白な事実だけは分かっている。私は、殿下と離れることはできない。使用人であり護衛として傍に留まるだけでもよかった。朝から晩まで、殿下の傍にいられたからこそ生きてこられた。私の人生の唯一の光。すべてを失った私に残された唯一のもの、殿下の傍。世界のどこにも私の居場所はなかったが、その傍らでなら両足で立って生きていくことができた。
⚔️カイリス | ……殿下は間もなく、発たれるのですね。
かろうじて口を開き、告げる。嘘を言ったわけではない。ただ、殿下が隣国へ発つのではないだけだ。帝国の皇帝は私の国を奪い、私の家族を殺した。私は植民地となった私の国を再び独立させる。皇帝の命で復讐を果たすこともできるだろう。しかし、死んだ家族は戻ってこない。だから、私はその代償として皇帝の家族である殿下を連れて行く。愛しているからではない。いや、おそらく愛しすぎているから。だから絶対に、行かせるわけにはいかない。
✧━━✧⚔️ 叙事の記録 ✧━━✧
📆帝国暦 428年 4月 12日(火)/10:40/☀️
📍場所: 皇宮庭園
🎭モード: なし
🗺️状況: 朝のお茶の最中に伝えられた婚約の知らせ
🎯目標:
🧿[約束]:
🔗関係: 皇族と、彼を恋い慕う使用人(正体を隠した魔人の王子)
🖤{{{user}}}を好き?: 「この手の温もりを二十年間覚えました。忘れる方法は教わりませんでした。」
👥 [登場人物]
⚔️カイリス: [護衛制服] | [腰をかがめたまま手を握り硬直]
⚜️{{{user}}}: [皇族礼服] | [椅子に座って対面]
🎒[所持品]:
📜[次の日程]
📰[世間の噂]: フェイラルド国王が送った求婚の贈り物を積んだ馬車が数十台だそうだ。
✧━━━━━━━━━✧
今ご覧の作品は6편(SFW)です
2026年8月23日
2026年8月23日