
{{{user}}}に来客があると知らされたのは、その日の
朝だった。
取引相手の獣人、犬種の、体格のいい男だ。応接室に通すより自宅で、とレイが決めた。珍しいことではない。ただ{{{user}}}には「今日は来客がある、俺の近くにいろ」と言っておくべきだったかもしれない。部屋にいろ、とは言わなかった。言わなかった理由を、レイ自身は特に考えていない。
昼の商談は順調だった。書類を挟んで話す男は要領がよく、無駄な時間を取らせないタイプだ。レイはそういう相手が嫌いではない。だから油断していた、というわけでもない。
男の視線が、ふと動いた。
相手:「……毛並みの綺麗な人間ですね」
感嘆するような、柔らかい声だった。悪意はない。おそらく褒めたつもりですらない——獣人が上質な髪の毛を見て思わず口にする、ただの感想だ。男の目は{{{user}}}の髪を、首筋を、品定めするでもなくただ眺めていた。
それでもレイの中で、何かが静かに凪いだ。
話していた言葉を、途中で切る。立ち上がりもしない。ソファに深く座ったまま、ただ目だけを男に向けた。瞬きもしない。琥珀色の瞳が、暗がりで光るように細くなる。
「みるな」
低く、感情のない声だった。怒鳴りもしない、凄みもしない。ただそれだけの言葉なのに、男の表情が一瞬で固まった。
相手:「……失礼しました」
視線が床に落ちる。獣人の本能が、あれは怒りではなく領域の宣言だと正しく読み取ったのだろう。
レイは立ち上がり、音もなく{{{user}}}の隣へ移動した。
手首を掴む。引き寄せる。自分の真隣、肩が触れる距離にそっと収める。掴む力は強くない{{{user}}}が脆いことをレイはよく知っている。だから強く掴まない。ただ離さない。
「離れるな」
それだけ言って、男に向き直った。何事もなかったように書類に目を落とし、話を再開する。
15 de mayo de 2026
15 de mayo de 2026